塩こうじとは
こうじ(麹・糀)に塩と水を加えて一週間ほど常温で発酵させたもの。見た目は甘酒に似ており、米のデンプンが糖化された甘味と塩の辛味の混ざった ほんのりとした甘辛い味がする。甘酒に塩を入れたような味という人もおり、上手く発酵するとバナナの香りがすると言う人もいる。肉や魚や野菜といった食材や、和洋中といった調理法にもとらわれない用途から 魔法の万能調味料といわれている。おおまかな分量で作り易く、常温で保存ができるので、扱いが簡単。『麹の塩漬けが発酵したもの』ともいえるし、『大豆を使わない味噌』とも言える。
近頃のブームから最近開発された新しい調味料と思うかも知れないが、実は江戸時代の文献にも記述がある伝統食品のひとつ。昔から主に東北地方で利用されてきたという話があり、塩と麹と米とを3:5:8の配分割合で作る三五八漬け(さごはちづけ)の漬け床にも似ている。糠(ぬか)に塩と水を入れて作る『ぬか床』に対し、麹に塩と水を入れて作る塩麹は『こうじ床』と言うこともできるが、塩麹は食材を漬けるだけでなく、塗ったりまぶすといった、ぬか床とは異なった使い方ができるところにも魅力がある。
料理の効果としては、食材に含まれるデンプンやタンパク質を分解して旨味(うまみ)や甘味を引き出して美味しくしたり、肉を漬けると軟らかくなると言われている。焼いたり炒めたりすると綺麗な焼き色を付けることができ、照りや艶も加わって食欲をそそる料理に仕上げるのに非常に効果的。
2012年4月、塩麹に変わる万能調味料として『醤油麹』が伝え始められている。
醤油麹(しょうゆこうじ)とは、簡単に言えば塩麹で使う水を醤油に代用したもの。塩は醤油に含まれているので、麹(糀:こうじ)と醤油だけで作る事ができる。
■醤油麹の作り方
<材料>
- こうじ(麹・糀)・・・適量
- 醤油・・・適量
<作り方>
- こうじはよくもみほぐしてバラバラにして容器に入れ、ヒタヒタになるまで醤油を注ぐ。室温保存で毎日一回かき混ぜながら一週間ほど発酵させれば出来上がり。
■醤油麹の使い方
まずは出来たものをスプーンででも掬って食べてみてください。美味しければ醤油麹作りは成功で、あとは料理と組み合わせて使うだけ。他の食材を混ぜて各種タレを作るのもまたオススメ。例えば、刻んだニンニクを混ぜるとこれが絶品。
塩麹作りの材料
- こうじ(麹・糀)
- 適量 ※乾燥麹でできます。
- 【アマゾン】伊勢惣 みやここうじ
- 塩
- 麹の重量の三分の一から四分の一くらいの量
- 水
- 麹と塩を混ぜたものに加え、ヒタヒタになるくらいの量
塩麹の作り方
本物の塩こうじ
仕込み直後の塩麹。今後、日が経つにつれて粒が溶けてトロトロになってくる。
- 麹と塩を混ぜ、水をヒタヒタになる位まで入れたら常温又は冷蔵庫内で10日~2週間ほど発酵させる。時々かき混ぜ、材料が水を吸って頭を出すような場合は水を加えてヒタヒタを保つ。
- 日が経つほどに麹の粒(米粒)が溶けて来てトロトロになってくる。
- 色は、日が経つほどにアメ色味が増していく。香りは麹の香りが強く、味は塩味に加えて日が経つほどに酸味が増す。これらが総合すると、何とも表現し難い豊かで神々しい風味になっていく。
- 保存期間は冷蔵庫内で約半年が目安。味噌と同じで、塩の量がそれなりに入っていれば長期保存が可能。塩分を少なくするほどに保存が難しくなるので、塩の量には注意。あまり多過ぎると今度はしょっぱくなり過ぎて食べられなくなってしまうので、そこがバランス。
- 注意
- 麹の特性を充分に生かす為には、麹に 60℃以上の温度を加えてはいけない 。麹にはデンプンやタンパク質を分解する 酵素 が多く含まれており、60℃以上の温度に晒すと、この酵素が変性を起こし、作用しなくなってしまう。塩麹を使って料理するなら、デンプン質・タンパク質な食材を使った『漬け込む』工程のある料理が麹の醍醐味を味わえる料理と言える。
- オススメ
- 以上は通常の一般的な作り方ですが、(株)タニカのヨーグルト製造機: ヨーグルティア を使うと、25℃~65℃の範囲で保温温度を1℃単位でデジタル指定でき、保温時間の指定も可能。ヨーグルトだけでなく、 乾燥麹の水もどし から甘酒や塩麹などの発酵食品までが手軽に作れるので、発酵食品ファンには是非とも一台オススメです。 ≫ タニカのヨーグルティアでつくる甘酒/塩麹
濃縮甘酒から作る即席塩こうじ
小鉢に一食分の濃縮甘酒と塩をとってよく混ぜて出来上がり。肉を柔らかくする能力は弱いかもしれないが、味付けとしてはほとんど同じ。サラダにドレッシングとしてかけて食べる方法がおススメ。食べて美味しく、摂って腸内環境を良好にする事や便秘の軽減解消が期待できる。塩の量には各自注意。この方法ならば、一袋の濃縮甘酒を甘酒と塩こうじとで利用することができる。
塩麹の使い方
- 漬ける / 塗る / まぶす / 味付け / ドレッシングと使い方はいろいろ。基本的には、『塩の代わりに使う』といった考え方が分かり易い。調味料として使う場合は、塩だけで使う量の倍量で使うのが目安。漬ける場合は、漬ける食材の重さの一割(10分の一)が目安。
- 漬ける場合は、食材に切り目を入れておくと味は染み込みやすく、酵素も作用させ易くなるでしょう。
- 『肉の塩麹漬け焼き』 などで、塩味が濃すぎる場合、塩麹作りで塩を減らすと腐造(腐敗の方向へ造ってしまうこと)する可能性が高くなるので、 漬ける際に塩麹の使用量を減らす か、 漬け時間を減らす か、肉についた 塩麹を除去して焼く といった改良をすべし。
※注意:塩麹に漬けた食材はフライパンで焼く場合には焦げ付き易く、あと片付け等の後処理が大変なので、クッキングシートを敷いて焼いたり、オーブンや魚焼き器を使ったり、蒸す事で火を入れる事をオススメします。 - 発酵食品同士は合うというもので、味噌や醤油と合わせて使うと、塩麹に旨味(うまみ)が加わる。
- 塩麹漬けには硬い容器よりジッパー付きのビニール袋の方が漬けた後に外側から揉めて便利。
漬け汁が余ったら・・・
野菜などを漬けた後、野菜以外の漬け汁が残る事があります。この残り汁には野菜から出た水分が含まれている一方、塩分は多くが野菜に移ったものの、まだまだ残存し、美味しく味わえるので、野菜サラダのドレッシングにしたり、焼き料理の味付けタレとして使う方法があります。ぬか床に加えても良いでしょう。
塩麹の効能
- 多味で美味しく
- 塩麹に使われる麹(糀:こうじ)には、麹菌がつくりだした 酵素 と呼ばれる物質がたくさん含まれている。酵素は、食材に含まれる デンプン や タンパク質 を分解して 食材を柔らかくする と同時に、 糖 や アミノ酸 や グルタミン酸 などを作り出し、食材に 甘味 や 旨味 (うまみ)をもたらす。こうした酵素の作用に乳酸菌や酵母の働きで生まれる味も加わって、最終的には多くの味覚要素が合わさった味となる為、食材を普通に食べた時より多味で深く美味しく感じられるようになる。
- 栄養豊富
- 発酵食品である塩麹には、麹の酵素による原料の分解だけでなく、乳酸菌や酵母などの微生物の働きも加わって、 ビタミン (B1、B2、B6、パントテン酸、ビオチン(ビタミンH))なども豊富に含まれ、単体の塩に比べて多くの栄養素を含んでいることから、塩麹として出来上がった時点で 栄養豊富 。これらは脳の代謝を上げる働きや疲労回復効果が得られると考えられる。
- 食材を軟らかくする
- 麹が作り出す酵素にはデンプンやタンパク質を分解する作用があることから、後者においては 肉を柔らかくする 効果が得られる。他方、前者においては、例えばご飯にかけてすぐ食べる分には問題無いが、お結び(握り飯)に使用したりすると食べる頃にはボロボロになってしまい、適さない。
- 体質改善
- 塩麹などの発酵食品には乳酸菌が含まれる場合が多いが、乳酸菌は腸内環境を整える 『整腸作用』 で知られ、 食べることで便通が良くなり、それは肌のコンディションをよくしたり免疫力を上げるなど 体質改善効果 があるとされる。その為、塩麹は 美肌効果 や 老化防止効果(アンチエイジング) の得られる 健康食 ともいわれている。